
春、桜が咲く季節になると、多くの日本人が食べたくなるのが「桜餅」。
春の代表的な和菓子の一つで、店先でこのお菓子を見るともう春だなと感じます。
桜餅は全国で食されていますが、実はこの桜餅というお菓子、二つのタイプがあるのをご存知でしょうか?
一つは東京起源の関東風桜餅
もう一つは大阪起源の関西風桜餅
塩漬けの桜の葉で巻くこと以外、素材や形は全然違います。
どうして2つの桜餅ができたのでしょうか?
これから桜餅の歴史を紹介していきたいと思います。
◆関東風桜餅が起源

桜餅の起源は関東といわれています。関東風の桜餅は、別名を「長命寺」「長命寺餅」といい、東京都墨田区にある長命寺が由来です。
長命寺の門番をしていた山本新六という人が、お寺の周りを掃除していました。
そこは桜の名所でたくさんの桜の木が植えてあり、いつも大量の桜の葉が落ちていました。
彼はこの大量の桜の葉をなんとかできないかと考えて塩漬けにしてみました。
すると塩漬けにした桜の葉はなんとも良い香りを出し、これを餅に巻いて参拝者に振る舞うとたちまち大人気になりました。
桜餅は思いがけなく好評を得て、どんどん売れていき、向島から全国へと広がっていきました。そうして関東の桜餅は長命寺を発祥としたことから「長命寺桜餅」と呼ばれるようになりました。
◆関西風桜餅の始まり

関西風の桜餅は江戸で人気のあった長命寺を参考にしたものが起源だといわれています。
関東で人気の桜餅のようなお菓子を関西でも何か作れないかと大阪の和菓子屋が考え、道明寺粉を使った桜餅を考案しました。
道明寺粉とは、もち米を蒸して乾燥させた後に粗くひいたもので、和菓子によく用いられます。
1000年以上も昔に大阪・藤井寺市にある道明寺で初めて作られ、保存食として重宝されていました。それを使った桜餅なので関西風の桜餅は「道明寺桜餅」と呼ばれるようになりました。
◆二つの桜餅の特徴
同じ桜餅でも、関東風と関西風には大きな違いがあり、見た目も食感も違います。

関東風桜餅の長命寺は、小麦粉などを使用したクレープ状の生地で餡子(あんこ)を巻き、桜の葉の塩漬けで包んだスタイルです。お店によって丸く焼いた生地をくるっと包む筒型の形状や半分に折り曲げて包む形などがあります。

関西風桜餅の道明寺は道明寺粉を使って作った餅で餡子を包み丸い形に仕上げ、塩を抜いた桜の葉1枚を巻けばできあがりです。
もち米がベースの道明寺粉が生地のため、もっちりとした食感。
また、もち米の大きさで食感が変わり、作り手や地域によっても微妙に違います。
◆桜の葉の効能
桜餅を彩る特有のいい香りは、桜の葉が持つクマリンと呼ばれる成分です。
また生の桜の葉からは、ほとんど香りはなく、塩漬けにすることで香り立ちます。
桜の葉が使われる理由は、豊かな匂いや香りのためだけではなく、別の理由もあります。
それが桜の葉が持つ抗酸化作用です。
どんな食べ物でも、酸化すると味が落ちてしまいますが、桜の葉が生地の酸化を遅らせてくれることで、おいしさを保ってくれます。
また桜の葉で生地を包むことから、水分が失われるのを防ぐ効果もあります。
どれだけおいしい桜餅でも、水分が失われてしまうと、パサパサとしておいしくなくなりますよね。
たった数枚の葉っぱですが、大切な理由があって使われているのです。
◆おわりに
いかがだったでしょうか?桜餅について簡単ではありますが、まとめてみました。普段食べている桜餅にこんな背景があったとは興味深いですね。
最後に、自分の桜餅に関する体験談を書いておきます。
私は大阪で育ったので、桜餅といえば道明寺桜餅で、製菓学校で学ぶまで関東の桜餅を知りませんでした。
学校で桜餅の授業を受けた際、教えられている桜餅が自分の頭にある桜餅と全然違い、
「何これ!?これが桜餅⁇え?餅はどこ?これってクレープみたい…え?これが東京の桜餅?」
と授業中大混乱でした。東京での初めてのカルチャーショックでした(笑)
和菓子は関東と関西で違う点がたくさんあり、それを知っていくのも面白いものです。
また機会があれば、関東の和菓子と関西の和菓子、それぞれの違いをご紹介したいと思います。
それではみなさん、桜餅を食べながら桜の季節を楽しんでください