草餅

みなさん、こんにちは

春の訪れを感じる和菓子といえば、やっぱり「草餅」。よもぎの香りがふわっと広がるやさしい味わいは、昔から多くの人に親しまれてきました。今回は、草餅の魅力や歴史、有名店などご紹介します。

草餅とは

湯がいたよもぎなどの葉を入れてついた餅。

あんこを包んだものや、包まずあんこをつけて食べる物など様々なタイプがあります。日本では春の代表菓として知られていますが、長い歴史のある和菓子の一つです。

草餅の歴史

草餅の名前にある草は、現在、よもぎが主流ですが、昔は母子草(春の七草の1つ。ゴギョウ)が使われていました。

ハハコグサ

なぜ、このように草を餅に混ぜて食べるようになったかというと、上巳の節句に草の香りで邪気を祓うために餅に草を混ぜるという風習が中国からやってきたからです。

こうして、上巳の節句には草が混ぜ込まれた餅を食べるというのが宮中行事に取り入れられました。

江戸時代になると、上巳の節句は女子の健やかな成長を願い、雛人形を飾るひな祭りとして広く祝われるようになります。穢れを払い、厄を避ける意味から、草餅を食べる風習も変わらず受け継がれました。そして次第に、母子草よりもよもぎを使うことが多くなりました。その理由として、母子草では餅にする時、地面から母と子を突き混ぜるようで、縁起が悪いためとも言われています。鳥取や岡山では、今も母子草を混ぜるところもあります。

なので、よもぎ餅という呼び名も元々は草餅と同じです。歴史が下るにつれて母子草がよもぎに変わっていったためです。

よもぎの効用

よもぎは、日本では昔から身近な薬草として親しまれてきた植物です。独特な香りが特徴で、体にうれしい効果がたくさんあります。まず、よもぎには血行を良くする力があり、冷え性や肩こりの改善に役立つと言われています。また、食物繊維やビタミンが豊富なので、便秘対策や美容にもおすすめ。最近では「よもぎ蒸し」など、リラックス効果を求めて取り入れる人も増えています。さらに、抗菌や消炎作用もあるので、昔は傷や湿疹に使われることもありました。香りとほんのりした苦みがクセになるおいしさです。自然の力で体を整えたいとき、よもぎはとっても心強い味方になってくれます。

草餅の種類

草餅は中にあんこを入れた大福のような形をしているものが代表的です。他にも、きな粉をまぶして食べるものなど、さまざまなバリエーションがあります。また、スイーツとしてのみでなく、普通の餅と同様に、雑煮や焼き餅として食べる場合もあるのです。ここでは、草餅のバリエーションをご紹介します。近所の和菓子屋さんを巡って、さまざまな草餅を食べ比べてみてはどうでしょうか。

●あんこを包んだ草餅

小豆の粒あんやこしあんを草餅生地で包んだ物。形も様々で、くわい形、木魚形、蛤形、きんちゃく形、編み笠、千鳥形などがあります。

●あんこなしの草餅

よもぎの風味を存分に楽しめるのは、あんこなしの草餅です。団子のように丸くころっとした形をしたものや、お餅のような形をしたものなどがあります。きな粉や白蜜をかけたり、別添えのあんこをのせたりなど、自分の好みに合わせてアレンジを楽しめます。

●焼き餅風草餅

草餅の表面を焼いたもので、香ばしさが増し、食感も変わります。

草餅の有名店

ここでは日本で有名な草餅のお店を紹介します。

・奈良県 中谷堂

高速餅つきで有名。あんこを包むタイプの草餅です。お店の前には常に観光客の行列ができています。高速でつく理由はパフォーマンスではなく、おいしさを追求したためです。

・奈良県 中将堂本舗

こちらはあんこを草餅の上に乗せるタイプです。甘さ控えめで滑らかな食感のあんこと草餅の調和が絶品。

・東京 志”満ん草餅

よもぎの香りが豊かで、餅が柔らかく、甘さ控えめのあんこが美味しいと評判です。特にあんなしの草餅は、きな粉と白蜜と合わせて食べるのがおすすめです。手土産にも喜ばれる老舗の味として人気があります。

草餅の思い出

草餅に使うよもぎは現在、生の葉、冷凍、よもぎパウダーの三つの形態があります。

私が修行していたお店は生の葉から草餅を作っていました。草餅の時期になると、毎日5〜10キロのよもぎの生葉を仕入れ、朝からずっと枝から葉を摘む作業をやっていました。新鮮な生葉から作った草餅は香りも良くとても美味しかったです。今でも河原などで自生しているよもぎの葉を見るとあの頃を思い出します。

まとめ

春の訪れとともに、よもぎの香りをまとった草餅を味わうひとときは、日本ならではの季節の楽しみです。古くから受け継がれてきた歴史や、地域ごとに少しずつ異なる草餅の姿に触れることで、和菓子の奥深さを改めて感じることができます。ぜひこの春、ふわりと香る草餅とともに、季節の移ろいを楽しんでみてはいかがでしょうか。